オウム真理教に高学歴者が多いことについての私見

 オウム真理教には高学歴者が多かったと言われています。幹部になって逮捕された人たちの経歴を見ると、東大、京大、阪大、京都府医大、筑波大など国立大学に早稲田大、慶応大などの出身者がいます。また理系の人間も多数います。高学歴の人間しかいないというわけではなかったようですが、高学歴の男性が数多くいたのは印象に残ります。
 うち(出雲大社紫野教会)の信徒の人からも「なんで高学歴の人間がオウムに入ったの?」と質問されたことがありますが、それを考えてみます。
参考:麻原彰晃とオウム真理教が大学祭に来た時の記憶

(1)オカルトに対する強い興味
 オウムに関心を持った男性は、かなりのオカルト好きが多いのは間違いないでしょう。
超能力、瞑想、ヨガがオウムの勧誘の売りでした。なお、オウムでは霊能力ではなく神通力という言葉を使っていたようです。未来予測とか一般人に見えないものが見えるとかですね。(麻原はほとんど当たらなかったという話もありますが)
 高学歴のそれも理系となると、科学的な証明ができないものはまったく信じない唯物思想の人間が多いと考えるかもしれません。確かにその傾向はあると思いますが、そうでない人間も意外にいます。科学で世の中のことをすべて説明できるわけではありませんから、かえって宗教的になる人間もいます。
 オカルトに興味がある人間は学歴関係なしに一定数存在するのです。

(2)理屈を用意
 男性は何についても理屈、理由、理論を求めます。オウムは教祖が男性ですから、それなりの理屈を用意したようです。麻原の仏教知識はそんなにたいしたものではなく、ハルマゲドンみたいなキリスト教の話があったり無茶苦茶なところもありますが、信者になったような人間は、元々あまり宗教に関する知識がなかったため、問題にはならなかったようです。

(3)科学技術志向
 ヨガというと今でも女性には高い人気がありますが、男性にはそれほどでもありません。瞑想と聞くと興味ある男性もいるでしょう。ここでさらに瞑想の時に装置をつけて脳波を測る、とか聞くとどうでしょう、俄然関心を持つ男性が増えるのではないでしょうか。このような科学的なことをオウム真理教は結構やっていました。かなり疑似科学的な怪しいものも多かったようですが。
 自力でサリンに毒ガスに自動小銃も作りましたが、任された人間は喜んでやったようです。宗教的なやりがいもあるし、科学的な楽しさもあったでしょう。

(4)世捨て人志向
 昭和の中期後期では、学校を出て、男性はサラリーマンとして働いて、家庭を作って養うのが普通と思われていました。オウム真理教に入信した人間は、そのような世間の常識が嫌で、価値がないと思っていた人が多いようです。高学歴の人間は良い会社に入ったり、あるいは医者になったなどの好条件をすべて捨てて出家するわけですから、強烈な意志がないとなかなかできません。そのような世捨て人はいつの時代でも少数ですが存在します。

(5)真面目
 オウムの幹部だった人間の、周りから人物評を見ると、ほとんどの人が「真面目だった」という話が出てきます。厳格で激しい修行をする宗教は真面目な人間でないと入りませんし耐えられません。ただトップだけは真面目でなかったようで、部下は妙に真面目な人たちだからハッタリに騙されるのでしょう。

(6)陰謀論を信じてしまう
 オウムでは陰謀論が当たり前のように展開されていました。当時ノストラダムスの大予言は有名で、西暦1999年に世の中がひっくり返るようなことが起こると信じていた人もいました。麻原はそこにキリスト教由来のハルマゲドンを持ち込んだり、他にはCIAにフリーメーソンにユダヤに、と有名だった陰謀論を利用します。信じない人間にとっては馬鹿馬鹿しく思えますが、高学歴であってもこれらの陰謀論を強く信じる人はいるのです。

(7)麻原が高学歴の男性を優遇した
 実はこれも重要な要素だと思うので最後に持ってきました。
 オウムは宗教的にもランクを設けます。正悟師だとか正大師とかですね。これはありがちですが、さらに省庁を作って大臣や次官を指名していきます。どんな組織にいても男性は肩書きや階級が大好きです。オウムではどうやら高学歴の人間は出世が速かったようです。麻原の意向ですが、使えるからと思ったのか、高学歴の奴を使えるの楽しかったのか。両方かもしれません。
 その結果幹部にも高学歴の人間が多く、逮捕後に経歴を報道されると、高学歴の人が多いな、ということになるのです。

 さて、オウムには女性の信者もたくさんいましたが、ここまで高学歴の男性の話しか出ませんでした。ある信者は「男性は高学歴、女性は美人が速く出世した」と語っていたそうです。これも教祖の嗜好なんでしょう。
 私の個人的な見解を言えば、そもそもみんな高学歴の人間を買いかぶりしている、と思います。一流と言われる大学にはいろんな人がいます。変わった人もいます。なんだかよくわからない人もいます。もちろん、試験を勝ってきていますから、勉強はできるし、頭のいい人も多いですが、必ずしもその全員が世間の人が思うような合理的な、無難な行動をとるわけではないのです。