老韓国人のキリスト教徒

 外出先で転送されてきた電話を取ると、日本語だけど所々調子が気になる人からの電話が。これは日本に長く住む外国人の方だなと思ったら、やはり韓国人のキリスト教徒だと名乗られました。私が書いた、ゴッド(God)を神と訳したのは日本のキリスト教の大きな失敗
を見られて、それについていくつか質問されました。私もそう思ってた、今度来て話がしたいようなことを言われたような記憶があります。

 数日後再び電話が掛かってきて、今から行くから、とのこと。本当に来られるんだなとやや驚きましたが、わざわざ大阪から来られたのはおじいさんが一人。Aさんとしますが、年齢聞いて驚きました、卒寿です。ということは17歳までは帝国臣民だったわけで、その時代の話もお聞きしましたが、なかなか興味深いお話しでした。
 そもそもの動機は、日本ではゴッドの訳語に神という文字を使っているのはまずいのではないか、と思い始めて、インターネットで検索してたらたまたま私が書いたページが出てきて、読んだらその通りだと思ったから、ということだそうです。読んでいただいてありがたいことです。

 Aさんは仕事で日本に来てそのまま住むことになったそうで、韓国のキリスト教事情も詳しく、

「韓国ではゴッドの訳語として「ハナニム」という言葉を作った。そして、それまでの出版物も新しいものに切り替えた」

というお話しをされました。非常に興味深い話です。日本でもそうすべきだ、と私も思っていましたので。日本で本当のキリスト教徒を増やしたいのなら神を使わない方がいい、という第三者的な視点もありますし、また神主としては、神にゴッドの概念を混ぜて欲しくないという主観的な思いもあります。

 ハナニムという言葉を聞いてネットで検索してみましたが、興味深いページが見つかりました。
キリスト教受容における韓日の比較
どうして韓国ではキリスト教徒が多いのかなと思っておりましたが、その理由がわかる手がかりであると思います。

 それで、牧師?さんとかはどう言われてるんです?とAさんにお聞きすると「言ってみたけど、またそんな事言って、みたいな反応しか返ってこなかった」そうです。
 一牧師ではどうにもならない大きすぎる話ですから、言われた方も困ったことでしょう。神という文字を使った日本語の膨大な著作物がありますし、信徒も頭を切り換えなければいけません。また、過去に当然検討されたことであろうと思いますから、原語からすると神を使うのが妥当だという理屈もあるかもしれません。他にも布教のしやすさを考えると神を使った方がいい、などキリスト教内でも様々な意見があると思います。
 ただ、いくら絶対神とか創造神とか言ってみても、神という文字を使った瞬間に、八百万の神の中で一番偉い神、つまり絶対ではなく相対に引き下げられる、ということになり、これは重大な問題ではないかと思うのですが。

 そんなこんなで、Aさんは自分の思いを述べられていかれました。これを何とかするためいろいろやると。客観的に見ると、日本のキリスト教で神という文字を使わないように持って行くのはほとんど不可能に見えます。しかし、できるできないではなくて、自分の信念に基づいてとにかく行動しぶつかっていく。齢90歳でその情熱。本当に感心しました。

 これをご覧の方は神道について関心のある方が多いと思いますが、神道でこのような情熱を燃やしてみる。そのような人がたくさん出てきて欲しいと思います(もちろん、穏やかに暮らすでも問題ないのですが)。もちろん、私もさらに精進していかねばなりません。