神社にペットを連れてくることについて

 神社にペットを連れてきていいのか、というのが再び問題になってきています。以前から、近所の人が犬の散歩に境内を使われて、神社側が困るという話はありました。近年問題になってきた原因に、ペットを家族扱いする人が増えてきて、どこでも連れていくようになった、ということが挙げられます。

 基本的に、大半の神社ではペット同伴の参拝はお断りしています。例えば伊勢神宮のウェブサイトにも「ペットをつれてのご参拝はご遠慮下さい」とはっきり書かれています。
 伊勢神宮ではない他の神社で、ペットを連れている人を見たことがある方もいると思います。他の神社の神職に聞くと、やはりどこも問題になってきているようで、やんわりとご遠慮いただくように話はするところが多いようです。了解してくれる人もいれば、「ウチのワンちゃんは家族なんざます」みたいな感じで怒り出す人もいるということです。
 神社は宗教法人の私有地ですから、ペット連れの人たちを完全に追い出してもいいのですが、神社とは多くの人に開かれた所でもありますし、参拝者みなさんの奉賛によって維持されているところもありますから、なかなか厳しくは言えません。

 ペットがなぜ禁止されるのかという理由を考えますと、一つには動物が境内に入ること自体が不浄という考えがあります。糞尿もありますし、屍体で発見されることもあります。神社の祭典などで使うこともありません。四つ足のものだと馬だけが例外的で、神馬として奉納されることもありますが、他は聞きません。
 動物が入ること自体が不浄という考え方は、今はあまりないのかもしれません。ただ、やはり動物は予測外の動きをする可能性がある、というところは大きな問題です。犬を連れて散歩する人で困ったのは糞尿です。境内でされることも大変困りますが、中には放置する人もいます。これはさすがに神職としては頭にきます。神社に入る前に済ませてくる、という人も多いようですが、糞を放置するような人が百人に一人、千人に一人でもいると、どうしてもご遠慮下さいという方向に行ってしまいます。また、ペットが境内で突然走り回るかもしれません。社殿の中を荒らされたり、他の人を噛んだり、ということが起きたら大変です。

 もう一つ忘れていけないのは、他の参拝者で嫌う人がいるということです。現在のところ、神社に連れてくるペットの大半は犬ですが、犬嫌いの人もいます。おとなしく静かにしていれば嫌うこともないと思いますが、キャンキャン鳴くのもいます。鳴き声がうるさいという意見を持ってこられても神社側も困ります。
 犬ならまだ従順ですが、ペットがなし崩し的にOKになってしまうと、いろんな種類の動物をつれてくる人が出てきます。何を持ってくるのか、ちょっと予想がつきませんから、心配し出すときりがありません。

 ペットブームの盛り上がりのよって、少しだけ流れが変わってきています。ペットを家族の一員として思う人が増えたことで、ペットの御祈願を受け付ける神社が出てきたのです。ペットにも人間と同じ金額をかける人が出てきたわけですが、その神社は当然ペットと共に境内に入ることを許すことになります。ご祈願関係なくペットの参拝もOKという神社も、今は数は多くありませんが、これから増えてくるかもしれません。
 神職もいろんな意見があります。収入になるといっても、ペット禁止を崩すわけにはいけない、と考える人もいますし、人々の願いを神さまにお取り次ぎするのが自分たちの役目だからできる限り応えてあげるべき、という考えもあります。どちらも理があります。

 ただ、私の個人的な意見では、やはりペットを境内に入れることは遠慮すべきだと思います。人間と動物とはどこかで一線を引いた方がいいという考え方です。ペット同伴でお参りしていいとはっきり公表している神社以外では連れて行かない。不便ですが入り口で家族が交替して見るか、どこかに預けてからくる、それが望ましいと考えます。