宗教でガンが直るのか

医療が発達し、平均寿命がかなり長くなったこの時代ですが、未だにガンが問題になっています。ガン以外の病気で死ななくなったからみんなガンになるのでは、という感じもしますが、若い人ほど病状の進みが早く、あっという間に幽冥に入られたと聞いたりすると、その人とあまり関係が無くても、さみしい気持ちになります。ガンに対する医療に限界があるものですから、患者とその家族の中に、いわゆる民間療法というのにすがりつく人が出てくるのも当然のことです。

宗教というのも民間療法の一つに入るかもしれません。こういう仕事をしていると、「○○でガンが治った」(○○には自分が知っている宗教団体を入れて下さい)、という話をたまに聞きます。作り話なのではないか、あるいは医者の誤診なのではないか、あるいはその時消えたように見えただけで、結局また再発するのではないか、などなどいろいろ批判はあるでしょうし、そしてどれも可能性はあるとは思います。

ただ「医者が完全にさじを投げたので、ある宗教活動に没頭していたらガンがすっかり消えていた」
という話も中にはあるようです。開き直って精神的に強くなったら、回復力も強くなったということでしょうか。人間は健常といわれる人でも毎日ガン細胞がたくさんできていて、消されているそうですが、その辺りの機能に何かが起きたのかもしれません。人は体質がありますから、医師の予想を超えることが起こったのかもしれません。

問題は、その率が非常に悪いということです。誰かが○○教でガンが消えたからといって、他の人も入信したらみんな消える、というわけにはいきません。直る方が例外に近い、これは他の民間療法とも同じではないかと思います。

現代の医学に完全に頼る方と頼らず他の方法に任せるのとでは、医学に頼った方が明らかにいいのは間違いありません。医学も完璧ではありませんから、結果として失敗になることもあるでしょうが、比べると確率としては遥かにいい。ということで、命題の「宗教でガンが治るのか?」については、「宗教だけで直るかもしれないが、可能性は小さいので、医療をしっかり受けること」というのが私の意見です。

筆者は神道ですからその考えを述べてみますと、医療の神さまである大国主大神さまの御事績を見ると、日本書紀では「人々のために、病を治す方法を教えられた」という記述があります。また、古事記の因幡の白兎神話では、困っていた兎を大神さまが助けられるわけですが、なにか超能力一発で直されたのではなく、蒲の穂の花粉にくるまれ、と医学的知識を用いられたのです。

もちろん、神さまの不思議な力、御守護を信じていないわけではなく、昔から日本人は病気になると神仏にご加護を期待したのです。しかし、そこには限界があるともわかっていました。

不思議な力に加えて、自分の力強さを取り戻す、ということはどこの宗教でも同じかもしれません。ですが高額をおそなえしたら直るとか、ガンが消える宗教的な護符など怪しげなものを提案するなど、無理を主張する教団もあります。最初から詐欺の人間もいますが、宗教的に本気で信じてる人もいます。そういう人は自信満々に言ってきますから、信じたくもなりますが、警戒しなくてはなりません。